"人はパンのみに生きるにあらず" (ケイズ ブログ)

君は”D-day”を見たのかい?

君は”D-day”を見たのかい?_e0162444_22324346.jpg
ここに”SPRINGFIELD製 #2215870”と”WINCHESTER製 #1301743”のM1 GARANDのフレームがある。
SPRINGFIELDの#2215870は1943年12月、WINCHESTERの#1301743は1943年3月と、共に大戦中に製造されたものだ。
どちらも1943年(昭和18年)製造だ。

もしかしたらノルマンディーの上陸作戦に行っているかも知れない。
どこか危なく恐ろしい妄想が限りなく僕の頭の中に繰り広げられる。
君は”D-day”を見たのかい?_e0162444_22324382.jpg
戦後、どんな経緯をたどってか知らないが、最終的には我日本の自衛隊で使用されたのちに廃棄のために3分割にカットされ・・・そしてここにあるのだ。

よく見ると同じガランドなのに製造メーカーにより形状が微妙に異なっている。
共にフレームエンドは丸みのある大戦初期の形状だ。
SPRINGFIELDはパーカライジングでWINCHESTERはブルーイングのまま、後期にはWINもパーカライジングになっていくのでそれ以前の仕上げだ。

-追加写真-
グライフ氏より我が意を得たコメントを頂いたので嬉しくて写真を追加させていただく。
君は”D-day”を見たのかい?_e0162444_15364196.jpg
写真上がWIN。
刻印が無ければ米国の一流銃器メーカーが製造した製品には見えない。
君は”D-day”を見たのかい?_e0162444_15364429.jpg
外国の資料でもWIN製は加工跡がしっかり残っているとある。
これでも1940年12月から1945年6月までに513,880挺を製造して、大戦中の総生産数4040802挺の12.7%にあたる。
君は”D-day”を見たのかい?_e0162444_15364122.jpg
切れない刃物で無理やり削ったって感じだ。
同社が戦前に製作したライフルやショットガンは非常に美しい造りで憧れなんだが・・・
忙しかった・・・のだろうか?
それとも幽霊のせいだろうか(笑)




by 1944-6-6 | 2017-09-28 23:00 | K'z(ケイズ)日記 | Comments(12)
Commented by K at 2017-09-29 07:39 x
六人部さんが亡くなる少し前、六研に行くと溶接で繋ぎ合せたガーランドを見せられた。驚くことに溶接跡が判別できないほど上手く繋いであった。いたずらっ子の様にレバーを引いてクリップを飛ばす。完璧だ!「誰のですか?」と聞くと『ガーランドくらい持ってないとね』と笑ってた。
後に倅さんに聞くと、破壊して廃棄したと言っていました。
Commented by 1944-6-6 at 2017-09-29 15:10
>K 様
イタズラっ子に悪いオモチャ与えたって感じですね(笑)
無可動実銃を専門で売っていたお店にもたまに来られたみたいだからそんなのもあったかも・・・
(無可動→可動になったMP44を御大自らイベントで売ってましたね)
マニアもんで廃棄だ捨てたなんて言葉は「これ以上は聞くな!」ってことかも(笑)
Commented by Kawa-H2 at 2017-09-29 21:43 x
廃棄といえば、「野性の証明」で使われた後撃針ピカドンブローバックの六研AR18、戸井田工業製だったそうですが、全部廃棄しちゃったとか。もったいないですね~。
Commented by カバ男 at 2017-09-29 23:48 x
警察予備隊に貸出されたガーランドはボロかったと聞いてますから、硫黄島や南方激戦地で戦闘終了後のクリーンアップで回収された銃かもしれません、。
Commented by グライフ at 2017-09-30 11:04 x
個人的にはフライス切削の刃のピッチが、それぞれ違う事に興味がいってしまいました。WINCHESTER製 の方がピッチが細かく低速切削っぽいのに反してSPRINGFIELD製は荒く高速で削っているのが判ります。それに反して仕上げのヤスリ掛けはWINCHESTER製 が荒く。SPRINGFIELDは丁寧なヤスリ掛けに見えますね。ま、どうでもいい部分なんですが。
Commented by 1944-6-6 at 2017-09-30 16:06
>Kawa-H2 様
どうでもいいモノはゴミ箱に廃棄して、いいモノ全ては自分の家やお金持ちの家に廃棄したと考えるのが妥当でしょうね(笑)
Commented by 1944-6-6 at 2017-09-30 16:10
>カバ男 様
誰だかの著書に米軍からのガランドはピストンがすり減っていてまともに作動しないのでオペレーティング・スプリングを切っていたものが多かったとか・・・
どんだけボロなんだよ!
まぁ、昨日まで敵だった国にまともなテッポーはやんないってことかな(笑)
Commented by 1944-6-6 at 2017-09-30 16:14
>グライフ 様
こんな超マニアックな話をしながら一杯やりたいっす!
機械加工をしている人から見たらおもろい話が聞けそうですね(笑)

写真を追加したので楽しんでください。
Commented by グライフ at 2017-10-02 07:46 x
追加情報有難うございます。これだけ並ぶと一目瞭然ですね。生産性を上げるために仕上げを犠牲にして高速切削をしたのは明白ですね。使う刃物は高速度工具鋼と言う材質の刃物でほぼ共通だと思いますので工程をギリギリ省くには切削速度しかないと決断したのでしょうね。パーカライジングとブルーイングの手間も天秤に掛かったのでしょうね。
Commented by 1944-6-6 at 2017-10-02 15:26
>グライフ 様
喜んでいただき幸いです。
作っているところが見たいですねぇ。
Commented by monco at 2017-10-06 16:04 x
ウインチェスター製・・・・勿体ないなあ。

カットされた残りがあったとして、溶接で上手く繋ぐなんて相当な手腕がないとムリでしょうね。
中身の細かい部品まで繋ぐとなるとww
レシーバーの硬度って相当なもんでしょ。ヤスリの刃もたたないって聞きましたが。
Commented by 1944-6-6 at 2017-10-07 15:42
>monco 様
テッポーのパーツで最も硬いのはボルトだと思います。
銃身は思った以上に柔らかいけど、銃腔内にハードクロームメッキがかかっていると手動では切れないし削れません。
フレームはその間って感じで削れるけど硬いって感じです。
やはり鍛造加工品は硬いのでしょうね。