Thompson Submachine Gun Part 2
取り敢えずはスリングから。
1940年制定のFM 23-40(M1928A1)及び1942年10月TM 9-215(M1)マニュアルには共にスリングはM1923ウエッブスリングと記されている。
下がその写真である。
しかし、どちらのマニュアルの写真にはいつもの見慣れたトンプのスリングが付いているのだ。
???
Kerrスリングと呼ばれるものが形状的には似ているのだが、トンプ用よりかなり長い。
このKerrスリングのほうが長さ的に使いやすいと思うが・・・何故かトンプ用はパッツンパッツンだ。
僕の手持ちはこの5種類である。
オートオーディナンス製とセイモアー製は他にも何本かあるのだが、製造数が多いのか、たまたまなのかは不明。
見るとM1A1用になっている。
1943年ごろのモノだろうか。
しかし、この頃まだ20連を支給していたのである。
2社の刻印しか持っていない。
これ以外にクロスビーというのがあるようだ。
クロスビーは50連ドラムも製造している。
昔は軍装店にゴロゴロあって、いくつか買っておいた。
同じものが3本と異なるのが1本だ。
アルミ箔を付いた紙に巻かれそれがアルミ箔とビニールと布の包装がされている。
最初の紙には防錆加工がされているようだ。
全体にツヤが消えている。
パーカライジングかと思ったが中を見るとブルーのままであった。
サンドブラストのような加工で表面だけツヤを落としたようだ。
パーカの場合、ドブ付けなので前面がマットになってしまっているからだ。
重さは約2.2kg・・・ガバ2挺分だ。
案外鉄板が薄くて不用意にぶつけたら作動不良になってしまう。
全体の長さが415㎜だ。
トンプの銃身長が267㎜(10.5in)なので充分な長さなのだろう。
上がM1928タイプで、下がM2タイプである。
左にあるのはストックの中に入れて、オイルコンテナーのクッションにするフェルトである。
先に入れてしまうと中々取り出すことが難しい。
こう見るとM1928とM2は全長はほぼ同じだ。
ストック内のコンパートメントの奥行きはどちらのオイルコンテナーより若干深い。
やはりフェルトのバッファーなしではガタガタするのである。
これではキャップがフェルトの穴に嵌って意味が無い。
ノズルの目詰まり用のニードル付きなのが芸細である。
丸いモノは革製のパッキンだ。
ただ、デカい!
オイルが、しこたま入りそうだ。
実用一点張りだ。
蓋部分のローレット加工もMade ㏌ USAとは思えない出来だ。
一体何時入れられたものなのだろう?
まさか・・・大戦中か・・・まさかねぇ!
もともとは、第一次大戦時のエンフィールド・ライフル用のスリングだったらしいですね。
長さに余裕があるのは、その理由かもしれませんね。
イギリス軍はトンプソンのスリング用リングをバットストックの上面に、フォアストックは側面に付けていました。
トンプソンを肩で下げずに、身体の正面で水平に抱く形を標準にしたようですね。
MGCボンドショップで販売されていた「Small Arms profile 4」(トンプソン)のカラー写真ページのM1928モデルのスリングスィーベルがイギリス型になっており、当時は「なぜ、バットストック上面にリングが?」と不思議でした。
Kerrは調べてみると『カー』もしくは『ケアー』と発音されるようですが、『カー』が一般的のようですね。
カー スリングと記された広告もあります。
僕的には『ケリー スリング』もしくは『1917スリング』と言ってました。
ヨーロッパでは早いうちから機関銃のスリングを発砲状態でサポートできるように使っています。
ブレンガンもそうですが、その原型のZB26のそのようなスリング配置です。
それに引きかえ米軍は儀仗的な肩掛けに固執しています。
M60機関銃も採用時は肩掛けの負革形態で、発砲状態の携行をサポートする配置にしたのはベトナム戦が始まってからのようですね。
案外、米軍も保守的な部分が多いのが良く判ります。