"人はパンのみに生きるにあらず" (ケイズ ブログ)

MGC シュマイザー MP40

MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20373418.jpg
昭和の小僧達は疲れきったオヤジーに変貌を遂げてしまった。
が、ボケ始めた脳細胞に鮮明に残っている記憶があるはずだ 。
万博やアポロの記憶、夏休みのプールや終わってない宿題などなど・・・でも・・・でも、テッポー小僧だった奴らには初めて目にした時のMGCのトンプソンやMP40(シュマイザーって呼んでた)の記憶は何にもまして鮮明かつ美化されて記録されている。

その後つまらない大人になっていく過程で、いろんな楽しい遊びやお酒・オネーチャンを知っても、歳をとるにつれ時たまフラッシュバックようにチラつく懐かしい憧れのような記憶がある。
小賢しいスペックや情報に犯されていない頃に焼き付けられた、ただただカッコよく見えた欲しかった憧れのモデルガンの記憶だ。

しかし、後年それらのモノを手に入れても、どこか満たされない「もどかしさ」のような感覚がある。

「こんなんじゃなかった」・・・ような

そうしてオヤジーは果てしなく無邪気な頃の刺激を求めて、無駄遣いの道を歩みだすのだった。

出来れば汚れていない小僧の時に戻って、おもいっきりトンプソンやMP40で遊んでみたいものだ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20373531.jpg
ということで、ノスタルジーいっぱいのMGC MP40を分解してみることにした。
欲しくても手に入れられなかったオヤジー諸氏は写真を通して「手に入れた」疑似感覚を味わっていただけたら幸いである。

因みにこのMP40は僕のモノではないが、いつものようにバラしてみよう。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20362608.jpg
まずマガジンを抜き、薬室の安全を確かめる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20362796.jpg
ロッキングノブを下に引いて、180度回転させると出っ張った状態になる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20361876.jpg
シアーの前の丸いのがロッキングノブと連動のレシーバーロック。
下がった位置にある。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20361759.jpg
右手でグリップを握りトリガーを引きながらチャンバーカバー(アッパーレシーバー)を時計方向に回す。
少しまわすと前に外れてくる。
この作業には若干の慣れが必要だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20361795.jpg
そうすると上下が外れる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20361858.jpg
ボルトはレコイルスプリングガイドチューブが固定されていて、一緒に引き出せる。
ここまでは実銃とほぼ同じである。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20361783.jpg
慣れればほんの数秒でここまでのフィールドストリップは完了だ。
さすがドイツ人は合理的だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20363577.jpg
そこそこ火薬で遊ばれたボルトヘッドだが、さすがMGCである。
某他社のように崩壊してはいない。
製造から40年は経っているはずだ。
鉄板2枚折のエキストラクターが頑丈で強度も高い。
しかし、このディテールがMGCを確認できる要素にもなっている。

話は変わるが映画ダーティハリーの敵役スコーピオンが99式改の狙撃銃とともにケースに入れているのがMGCのMP40である。
エキストラクターから確認できることは周知の事実だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20363547.jpg
Zinc製のエジェクター。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20364568.jpg
結構頑丈そうだが・・・
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20365230.jpg
エジェクターの固定ピンが実物同様に左右からカシメめられている。
その為、安易に外せないのだ。
嬉しいような悲しいような・・・
鉄製のエジェクターなんてものもサードパーティであるようだが・・・カシメを壊さないと外せないので交換できない。
まぁ、エジェクターが経年変化などで破損したらやるしかないか。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20363664.jpg
結構破損しているのがレスティングバーである。
実物はシリアルナンバーの下のカシメピンで止まっている。
MGCのはレスティングバー内側の突起で止めているだけだ。
外すには下に引っ張るだけだ。
間違ってもひねってはいけない。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20363685.jpg
外したレスティングバー。
先の薄い出っ張りが折れているものが多い。
外す時にひねったりすると折れるのだ。
この個体もそうだが、だいぶ油がしみ込んでボソボソになっている。
たぶんABSではない樹脂と思われるが、ほどなく崩壊してゆく運命だろう。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20363676.jpg
バレルナットを外すとこんな感じになる。
ほぼ実物どおりだ。
唯一の違いがMGCの特許だったデトネーター。
真中上のコマみたいなパーツだ。
このチンケな部品が¥2,000もした。
確かステンも同様。
ステン本体が¥4,700だか¥4,900の頃にだ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20364405.jpg
9㎜エキストラロングのカートがこんな感じでセットされる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20364587.jpg
結構使用されているがまだ使えそうな気がする。
間違えても汚れを紙ヤスリなんかでヤスってはいけないのだ。
いとも簡単に¥2,000がパーになる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20365325.jpg
MGCの広告などではカラーと呼ばれるスイベルの位置が左側面についている。
角ばったバレルナットがMGCを主張している。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20365341.jpg
実物の写真などでは必ず右側だ。
MGCのように左側にあると、背中に背負った場合ボルトハンドルが邪魔になる。
しかし、右側だとスリングが排莢口を邪魔する気もするが・・・
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20364538.jpg
リアサイトはZinc製でレシーバー内側からカシメて止められている。
この状態だと100m射程にセットされている。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20364574.jpg
ものすごく硬いが200m用のリーフも起こすことができる。
しかし、破損を気にするなら あまりやらない方がよさそうである。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20365389.jpg
ネジ止めのフォアーグリップを外した状態。
MGCのフォアーグリップは左右に分かれるが、実物は左右一体のベークライト製である。
したがって実銃の場合、フォアーグリップを外すのにロッキングノブを外さなければならないのだが、これがカシメピンで止められているので大変だ。
その点、MGCは気が利いている。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20365332.jpg
ビックリしたのがグリップフレームを固定しているフロントのネジである。
本体のネジ部はダミーで緩み止めの小ネジがモデルガンでは固定用になっている。
思いもよらない攻撃であった。
何も考えずにいたらダミーネジを潰していたかもしれない。
しかし当時のMGC技術陣には頭が下がりっぱなしだ!
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20370151.jpg
グリップ上のネジ&ナットを外せばグリップフレームが外れる。
残っているネジ&ナットはトリガースクリューである。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20370141.jpg
前にあるEリングと先のトリガースクリューを外せばシアー/シアーレバー/トリガーが一体で取り外せる。
各々はカシメピンで止められているので必要なければ外さない方が良いはずだ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20370353.jpg
シアーの後ろにスプリングがセットされていた。
トリガーのリターンもこのスプリングが兼ねている。
実物はトリガー自体にコイルスプリングとプランジャーが取り付けられていてMGCとは逆になる。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20370233.jpg
実物ではカシメピンだがMGCは分解整備のことを考慮してか六角のイモネジを使っている。
モデルガンとしては非常に有り難い対処だが、実物では連射の反動で緩んでしまうのかもしれない。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20370210.jpg
分解するとこんな具合だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20371904.jpg
ストックもピン一本で止まっている。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20372096.jpg
ストックの折りたたみ機構はこんな感じのメカになっている。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20372043.jpg
なんかとってもメカっぽい絵柄だが、この辺がドイツなんだろうか。
ただし実銃ではグリップフレームも鉄板プレス製である。
何種類かのバージョンが存在している。
因みにMP38ではアルミニュームアーロイの切削加工だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20372010.jpg
グリップ/フォアーグリップはこの2種類3本のネジで留まっている。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20372095.jpg
全く蛇足だが最近モデルガンの分解にはこんなトレイを使っている。
レトルト米飯のモノだが白くて部品が見やすく、そんなに深くなく、端がカーブしているのでイモネジなどが取り易いのだ。
油にも強いしリサイクルなのでタダである。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20373415.jpg
マガジンはこの4パーツからなっている。
そこそこ遊ばれているのにあまり錆びていないのは奇跡的だ。
MGC  シュマイザー MP40_e0162444_20373422.jpg
こうなりゃこれらを使ってノスタルジックゾーンを突っ走るか!

・・・って度胸はないが。
期待されればやっちゃうかもしれない。
どうせ僕のMP40じゃあないし。

因みに1980年代にコンバットマガジン誌に掲載されていた「ノスタルジックゾーン」を書いていた故川越のりと氏は友人であった。
とにかくモデルガンをブローバックさせるのが好きな人で、よくCMCのガバをブローバックさせていたのが印象的だった。
もっと一緒にモデルガンで遊びたかったな。



by 1944-6-6 | 2015-07-29 20:50 | 絶 版  M G C | Comments(13)
Commented by maimai at 2015-07-29 21:35 x
全バラの平面写真を撮ったらぜひ借用させてクダサーイ。
他力本願のmaimai です。持っていないもので・・・。
Commented by ファイアーブルー at 2015-07-30 00:19 x
こんばんは。
40年も経つというのに、ダイキャストのパーツがキレイですね。オーナーさんのお手入れのキメ細かさが伝わってきます。
ある程度発火で遊ばれたとのことですが、ボルトヘッドを見る限りではまだまだ崩壊しそうにありませんね。

因みにWD-40のニオイ染みつく毎日の自分ですが、ダイキャストのように40年経つ頃には我が家の家庭も崩壊?しないよう、テッポー以外にもたまには家庭内メンテナンス??も必要かぁ・・・・・と思う今日この頃です。まぁ時すでに遅しかなぁ。。。。。(笑)
Commented by カバ男 at 2015-07-30 21:19 x
撃ったあとはラストキラー吹き付けるのを忘れずにね。
Commented by 1944-6-6 at 2015-07-31 01:02
>maimai 様
現時点では撮っていませんので、オーナーに返却前に撮れるかもしれませんし撮れないかもしれません。
撮れたらもちろん差し上げま~す。
Commented by 1944-6-6 at 2015-07-31 01:07
>ファイアーブルー 様
毎日暑いです。
モデルガンだけではなく日頃のお手入れとケアが大切です。
もちろん、嫁さんへのケアができず崩壊したことのあるオヤジーは・・・
別に何とも思ってないのでした。

そんなもんよ、男と女なんて・・・ヒュー(寒)
Commented by 1944-6-6 at 2015-07-31 01:14
>カバ男 様
ラストキラーとニューヒットって今でも売っているのでしょうか?
銃砲店にでもあるんでしょうか。

当時、中坊の僕には高価でなかなか買えませんでしたね。
Commented by エーデルマン at 2015-08-02 15:38 x
はじめまして、ドイツ軍オタクのエーデルマンと言います。
MGCのMP40の分解写真ありがとうございます。
当時銀弾鉄砲を買うのでさえもドキドキする純真無垢の少年だった私にはとても手が届かない存在でした。
それがオヤジになって国内外のオネーチャン(モデルガン、無可動)にさんざん散財もしましたが、このMGCのMP40は規制という国家権力に守られた箱入り娘でとても手が出せません。
青春と同じで二度と手に入れることは出来無いんでしょうね。。。
Commented by 1944-6-6 at 2015-08-02 18:52
>エーデルマン 様
1977年の法施行の1~2か月前に僕もMGCのMP40が欲しくてサービス部に行きました。
法施行日までに再入荷するかは判らないとのことで、なけなしのお金でCMCのウィンチェスターM92を買ってしまいましたがその後ずっとどこか寂しい気持ちでいっぱいだったのを覚えています。
仰る通り国家権力の為にMGC(鉄製)のMP40を買えなかったのです。
まぁ、周りの友人が持っていたので見るには困りませんでしたが・・・
そんなこんなの内に無可動実銃のMP40が入ってきて・・・それを購入したのでMGCは忘れられてしまいました。
でも、オヤジーになるとその時の悔しさ寂しさが一層強くなって・・・今回の個人的ノスタルジー的レポになったちゅー訳です。
貴殿のように少しでも喜んでいただければ非常に嬉しいことです。
これからも宜しく‼
Commented by カバ男 at 2015-08-04 00:16 x
今頃になって思い出したんだけど、バレルの六角ナットを回す専用のレンチも売ってたんじゃなかったっけ。あと、すっごく不確かだけど、シュマイザーのマガジンってステンマークⅢにも使えなかったっけ。
それとか、マズルんとこのスプラインみたいなの(もちダイキャストのモールド)を外そうとしてプライヤーでガリガリにしちゃった個体、多くなかったかなあ。
S&W44コンバット・オートのリアサイトのねじ(これもモールド)なんかもそうだけど、MGCって時々迫真の金型表現があって、うっかり騙されてドライバーとかでこじっちゃって後悔してるようなヤツ、結構多かったような記憶があるなー。
あワタシ?ワタシはやんなかったよそうゆうヘマは。クルマなんかでもそうだけど、「最初に取説とか分解図をよく読む」タイプだから。クールだから。ピーメのフレームにある”3番目のねじ”をいきなり回してナメちゃったり、スターリングのマズルんとこのヘクサゴンボルト(風)を力まかせにねじって丸穴にしちゃったり、僕じゃないですぜったい。
Commented by 1944-6-6 at 2015-08-04 15:47
>カバ男 様
MP40のマガジンはMGCステンと共用でした。実物のステンはもっと幅の広いモノでMP40には使えません。たぶん元々のサイズ決定が9パラではなく9㎜ラルゴ等を使用できる寸法になっていると思います。
MGCでもアムト入りのバレルナットが発売されていましたね。これだけの為にプレス型を作って刻印入れて・・・贅沢な時代でした。
マズルキャップは叩きこみで外すのを悩んだことがあります。実物はネジ式で緩み止めのスプリングがフロントサイト下に付けられています。
まぁ、ここは傷つけやすいですね。
MGCはマニアを試すようなバカにしたようなブービートラップを何気に張り巡らしていました。
僕は頭がいいので毎回は引っかかりませんが・・・←引っかかっとるやんけ!
Commented by toto7 at 2015-09-06 19:55 x
こんばんは、はじめてコメントさせていただきます。レスティングバーのはずし方が判らず困っていましたが、こちらの記事を拝見して無事解決しました。ありがとうございます。バレルナットはヤフオクを狙いましたが、手がとどきませんでした。(もしかしたら競ったかも)マルシンABSのナットがスペーサーかませると使えますので、それで我慢しております。
Commented at 2015-09-06 21:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 18:42
>toto7 様
初めまして!
僕も以前にレスティングバーの外し方で悩みました。
下に引っ張るだけだったんですね。
知らずに壊した人が多いのがMGCモノです。
また、宜しく!